寝返りとはヽ人間にとって生命を維持するための根源的な移動という最も初歩的な動きなのです。
一般的には、乳児は生後1~2ヵ月で最初に横向きから上向きに寝返りをし、4~5ヵ月で上向きから横向きに、うつ伏せから上向きになり、6~8ヵ月で上向きからうつ伏せになります。10ヵ月ではいはいが始まり、1歳で1人立ちができるようになり、歩行を開始します。
このようにして徐々に移動能力を高めていくのです。
寝返りの役割は、体液(血液、リンパ液、関節液など)の循環を促す、体温調節、ゆがんだ脊椎アライメントを元に戻すなど、疲労した体を翌日までに回復しリセットするために、人間にとって不可欠なものです。
寝返りの回数は個人差が大きいのですが、およそ一晩で20~30回打つといわれています。
一晩に30回の寝返りを打つとして、私たち日本人の一生の平均的な寝返り回数は計算上、30回×365日×男女平均寿命83年間=90万8850回になります。
90万回以上打つ寝返りがスムーズにできるかどうかで、心身に与える影響は少なくないことは容易に想像できます。しかし、寝返りについても詳細はまだまだ不明なことが多いのも事実です。
実際に、睡眠中の寝返りを解析した研究は少ないですが、病院のリハビリテーションにおいて、身体機能に問題のある患者様の寝返り動作に関する研究は散見されます。
これらの研究は、身体運動学を専門とする理学療法士によって行われています。理学療法士は人間の動きを観察、分析し、動作や運動を改善するプロですから、睡眠中の寝返りにも通じる大変興味深い研究内容を示唆しています。
人によって異なる寝返り動作ですが、その動きを決定するのは、4つの条件があります。
①重心移動の速度、加速度
②足や背中で床を蹴る力の大きさと方向
③体重をかける場所
④寝ている場所の広さ
以上の4つです。